資産形成のスキルが必要な理由

資産形成

資産運用が必要な理由

なぜ私たちは資産形成しなくてはならないのでしょうか?

「お金の勉強は難しそうだし、面倒くさい……」

このように考えている人も多いのではないでしょうか。

私たちが資産形成を真剣に考えるべき理由は、現在の日本には深刻な問題がいくつか存在し、 退職後や老後に備える必要があるためです。

例えば経済成長の長期的な停滞により給与の上昇は鈍化です。

2022年からは物価が上昇する中で生活費の負担は増え続けています。

さらに高齢化社会に伴って医療費や年金負担も増加し、将来への不安が広がっている状況です。

将来的には年金制度の持続性にも疑問が投げかけられており、個々の責任と備えが求められています。

また労働市場においても非正規雇用が拡大しています。

そのため、給与が上昇しづらい経済構造となっているのが現状です。

これらの状況を正確に把握した上で適切な対処を取っていかなければ、老後の生活資金が不足し、生計が立てられなくなるリスクがあります。

そのため、私たちは、日本が抱える問題点を具体的に確認する必要がありそうですね。

具体的には、物価上昇、 円安、日本人の給料が年間で上がっていない点、そして老後2000万円問題などです。

では順番に確認していきましょう。

日本の問題点1. 物価上昇

日々の生活で特に影響を感じるのは物価上昇ではないでしょうか?

スーパーやコンビニに寄った時、「昔よりも値段が上がっている」と感じた経験はありますよね。

例えば、紙巻タバコのメビウス(マイルドセブン)は1989年の時点では220円でしたが、 2020年には540円にまで値上がりしています。

普段から喫煙をされている人にとっては、 大きな支出ですよね。

他にも、185グラムの缶コーヒーは1990年代には100円で買えましたが、2023年には140円にまで値上がりしています。

こう見ると40%も缶コーヒーの値段が上がったことが分かるでしょう。

値上がりしたのはタバコや飲み物だけではありません。

2000年代は吉野家の牛丼が280 円ほどで食べることができましたが、2023年には450円ほどにまで価格が上がっています。

2020年現在m「牛丼一杯が300円以下」なんて、今では考えられないですよね。

2022から2023年は特にモノの値上がりを実感することが多かったでしょう。

サラダ 油や冷凍食品、肉、卵、野菜といった食品はもちろん、私たちの生活に直結する電気代の値上 がりは、目を見張るものがあったと思います。

2022年度のエネルギー白書によると、日本における2023年1月時点の電気料金は 2020年1月から3割の上昇を記録しました。

日本だけではなく、海外も同様です。

欧州連合(EU)では5割増し、イタリアでは3倍の価格を記録するなど、世界的にモノやサービスの値上がりを受けています。

私たちが冷蔵庫や電子レンジ、そしてエアコンなどの家電製品を使ったり、スマートフォンを充電したり家の中を照明で明るくするのに電気は必要です。

毎月支払わなければならないコストが上がれば、その分だけ私たちが使えるお金も減ってしまいます。

何も対策を打てないまま、これからもモノやサービスの値段が上がり続ければ、資産形成はより難しくなっていくでしょう。

この物価上昇の要因の1つが、ロシアとウクライナの戦争による影響です。

ロシア・ウクライナ間の緊張の高まりや紛争の勃発は世界経済に波及し、商品や資源の価格に 大きな影響を与えています。

特に日本はエネルギーの大部分を輸入に頼っているため、ロシア・ウクライナ間の緊張が続くことで、今後も物価上昇が続く可能性は高くなるでしょう。

こうした物価高や紛争は誰にも防ぐことはできませんし、予測も不可能です。

そのため私たちにできるのは、予想外の出来事が発生した時に備えて、自力でお金を稼いでいく訓練を積んでおくことです。

日本の問題点2. 円安

「円安・円高って言われてもピンと来ない」という人は多いと思います。

ちなみに日本は各国と比べて通貨安となっている国です。

そもそも円安とは日本の通貨である円の価値が、他国の通貨に比べて相対的に下落することを指します。

円安により輸入品を日本円で購入する際に、より多くの円が必要になることで起きる のが物価上昇です。

例えば、あなたが大好きな海外ブランドのTシャツがあったとして、アメリカを旅行した時に そのTシャツを買うとします。

Tシャツの価格は常に50ドルで変わりません。

この時に円高・円安でどれほどコストが違うのかを比較しましょう。

1ドル=100円の時

50ドル×100円=5000円

1ドル=150円の時

50ドル×150円=7500円

円高の場合

ある日、50ドル=100円の時にこのTシャ ツを購入することを考えます。

この場合、Tシ ャツの価格は5000円になります。

・50ドル×100円=5000円

円安の場合

しばらくしてから、1ドル=150円の時に再びこのTシャツを購入することを考えると、 Tシャツの価格は7500円になります。

・50ドル×150円=7500円

Tシャツのドルでの価格は変わっていませんが、円安になると同じTシャツを手に入れるのに、もっと多くの円が必要になるのです。

逆に、円が強くなれば円高となり、少ない円で同じド ルの価値を持つ商品を買うことができます。

このように、円安・円高は海外の商品を購入する際のコストに直接影響を及ぼします。

円高の時は海外の商品がお得に感じるかもしれませんが、円安の時はちょっと高く感じることがあります。

特に日本は他国から製品や原材料を輸入しているため、円安による物価上昇は避けられません。

例えば、製造業の原材料として輸入される商品の価格上昇が生じると、製品の製造コストが上昇し、最終製品の価格も上昇する傾向があります。

また日本はエネルギー資源や穀物などを大量に輸入しているため、これらの価格が上昇すると ガソリンや食品、衣料品などの日常必需品全般の値段も上がることになります。

円安がもたらす物価上昇は、消費者や企業に大きな影響を与え得るものなのです。

日本では2022年以降急激に円安が進み、およそ32年ぶりの円安水準が続いています。

実際、2022年1月のドル円相場は115円前後だったところ、10月には32年3カ月ぶりの高値となる151円95銭まで上昇しました。

国内の急激な円安の理由は、2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争によりアメリカのインフレ率が急上昇したことです。

この流れで米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が急速に欧米の利上げをし、欧米先進国と日本の間の金利差が拡大しました。

このことを受けて高金利のドルやユーロが買われて円が売られる動きが強まり、急激な円安が進行しているのです。

資産の価値が減ることで資産保有者の資産総額が減少し、 資産の運用や将来の経済計画に影響を与える可能性もあるでしょう。

日本の問題点3. 会社員の給料が増えていない

会社員の給料が30年の間増えていない現状も日本の問題点です。

あなたの給料は数十年間でどのように推移しましたか?

「給料は対して上がっていないのに、物価が上がっていてお金が貯まらない…」

このように感じてはいませんか?

日本では賃金上昇が見られない一方で、海外は上がっている様子が見られます。

経済協力開発機構(OECD)の調査によると、1990年から2020年における日本の平均賃金はほぼ変わっておらず、わずか18万円ほどの増加に留まっています。

一方、先進国である韓国やアメリカでは同期間で200万円以上の賃金増加があり、日本と比べると顕著な差があります。

さらに同調査では2020年の日本の平均賃金、 3万8515ドルが先進国の中で相対的に低水準であることを示しました。

実際アメリカの平均賃金は6万9391ドルと、日本の2倍弱ほどになっています。

また欧州の国々を見ても、ドイツが5万3745ドル、フランスが4万5581ドル、イギリスが4万7147ドルといずれも日本より高賃金です。

その他、韓国においても4万1960ドルの平均賃金を示し、日本人の賃金はこれよりも低いことになります。

ピーク時には世界3位の給与水準を誇った日本ですが、今や先進国の中でも最下位クラスの賃金になってしまったのです。

賃金が上がらない主な理由には「景気の停滞」があります。

実際に1990年以降の日本における経済成長が他の国々に比べて少ない傾向は、各国の GDP(国内総生産)推移を見れば明らかです。

GDPというのは、その国でどれだけ価値を生み出し たかを数字にしたもので、その数字が大きいほど「景気が良い」と考えることができます。

表を見ると、中国やアイルランド、韓国などは 年間で経済が大きく成長している一方、日本の経済成長 は約1.3倍に留まり、ほとんど成長していない状態です。

1つ目の問題点でも見た通り、日本は物価が上がっています。

しかし同時に、年間給料が増えていません。

このまま「給料は上がらないけど物価が上がってい る」という現状が続いてしまうと、あなたのお金は気付かないうちにどんどん無くなってしまうでしょう。

そのため、自分で資産を増やしていく努力をしなければなりません。

日本の問題点4.老後2000万円問題

老後に2000万円の資産を貯める必要があると聞いたことはありますか?

あなたは将来的に年金を受け取れると思いますか?

受け取れるとしても、年金支給額だけで生活できるでしょうか?

高齢化・長寿化が進む日本では、老後資金を貯めるのが困難な状況です。

なぜなら、年金制度は少子高齢化の影響や財政の問題に直面しており、将来的には受給額の減少や制度の変更により、年金だけで老後の生活を賄えなくなる可能性があるからです。

実際に2019年に実施された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書にて「老後2000万円問題」が提起され話題になりました。

この問題は、65歳以上の夫と60歳以上の妻からなる高齢夫婦世帯が年金だけで生活すると、毎月5.5万円の不足が生じ、老後の20年間で約 1300万円、30年間で約2000万円の資金不足に直面する可能性を示唆したものです。

老後2000万円問題が提起された背景には、 長寿化の進行などで老後の生活資金確保が困難になった事情があります。

厚生労働省の調べによると、1955年から日本人の平均寿命は上がり続け、 2019年には男女ともに約20年の長寿化が認められます。

つまり、昔に比べると約20年分多くの生活費や 医療費、介護費が老後に必要になったということです。

年金収入だけで生計を立てると毎月5.5万円の赤字が生じるのであれば、長寿化が進むほど老後の生活は厳しくなります。

今後も日本人の平均寿命が伸び続けることや物価上昇のリスクを踏まえると、老後への備えが十分にできなくなる可能性は十分にあるでしょう。

もう1つ注意するべき点は、今後高齢者が受け取る年金の受給額が少なくなっていく恐れもあることです。

そもそも年金制度を支えているのは、現役世代が収めている保険料です。

つまり現役世代の比率が下がれば、その分だけ納められる保険料は減るので、高齢者が受け取る年金額にも影響するのです。

昔は1人あたりの高齢者を支えるための人口が十分に足りていました。

1960年には高齢者1人を支えるために、現役世代は11.2人いたのですが、1980年には7.4人、そして 2014年には2.4人になってしまったのです。

このまま少子高齢化が続けは、高齢者1人に対して現役世代1人で支える形になってしまい、その分だけ年金の支給に必要な財源も不足していく恐れがあるのです。

高齢になって仕事をしなくなれば、当然収入も激減します。

その上年金額まで減ってし まうと、老後の生活が苦しくなるかもしれないですよね。

こうしたリスクに備えるためにも、仕事を辞めた後でも稼いでいくための方法を見つける必要があるのです。

自分の身を自分で守るための資産形成術

ここまで暗くなるような話ばかりになってしまいましたが、いずれも日本に住む現在のあなたに密接にかかわる、重要な問題です。

もちろん物価上昇や円安、老後2000万円問題などは今後解決できる可能性もありますが、いつ何が起きるかは誰にも分かりません。

これからさらに電気代や食料の値段は上がる一方で会社員の給料は増えていかない可能性も十分にあります。

そしてこれらの問題は、到底個人の力では解決できません。

モノやサービスの値上がりや円の価値が下がることについて、私たちのような一般消費者にとっては、抗うことができないのです。

だからこそ、私たちは資産形成を学び、自分の力で生きていくスキルを身に付けなければならないのです。

「気付いたらお金がなくなってしまった」

「老後資金が底を突き生活できなくなってしまった」

という事態を避けるためにも、資産を形成する術を知っておく必要がありますね。

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